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- 革作家が教える・レザーバックの傷やへこみを直す方法
相方の小瑠璃が買った、ヴィンテージのサルヴァトーレ
フェラガモのバックが、
予想以上に革の凹みによる型くずれ、シワ、傷、
そして、持ち手の深刻な傷が目立ったので、
急遽修理しました。
暇人の本業は革小物の制作なので、作りの良いバックの
修理は面白いものでた。
暇人の専門はタンニン鞣しなのですが、
フェラガモのクロムなめしのバックの質感は
タンニンなめしの質感にも似る、
最近ではあまりお目にかかれない
上質なもので、作りも美しいものだったので、
今回の修理方法が功を奏したのかもしれません。
革靴の修理や、磨き方を応用して、
シワや凹みや傷はかなり目立たなくなり、
美しいバックに生き返りました。
今回は、持ちての修理、革の凹みや傷やシワの
直し方について書いていこうと思います。
手入れについても書いてゆきますので、
参考にされると、かなりお役にたつものになると思います。
革靴や革小物にも応用可能なものです。
※タンニンなめしの染料染めの場合は、
少し方法が変わります。
1・靴墨
(革の色に近いもの・ワントーン深い色が最適です。)
今回のフェラガモのは茶色でしたが、ボルドーにしました。
2・豚毛ブラシ(クリームを塗る用)
3・馬毛ブラシ(磨き用)
4・ネル生地or綿100%の布
5・スチームアイロン
6・タオル
7・ステインリムーバー
8・靴クリーム(クリア)(←タピールを使用)
持ち手修復用
ヌメ革・糸・針・ボンド
●靴墨は目立たないところで、
色の入り具合をチェックする。
●スチームアイロンも目立たないところで、
変形がないかチェックする。
(革によっては、極度に変形の恐れアリ)
靴墨は色がのる革の染色か。
(顔料仕上げのものは入らない場合があります。)
あくまで参考例ですので、
革の状態や革の種類によって以下の方法が
効果をなさない場合や、
最悪使えなくなることもあることを覚悟して
お試しください。
革の種類や仕上げなどがわからない場合は、
バックの修理屋さんや、
革のことがわかる(東急ハンズなど)に
聞いてから試したほうが良いと思います。
今回の革は、牛革・クロムなめし・染料仕上げの
ものと思われます。
中央と両側が大きく凹み、
型くずれを起こし、そこに深いシワが入っており、
オイル不足の革のひび割れ、
深いキズや小傷が多く見られる状態です。
持ち手は、ギボシを外したところ、
革の一部が欠損しており、
そこから革が裂け、ショルダー紐が取れかけていました。
仕上げ用の馬毛ブラシで、
埃を徹底的にとります。
埃を落とさずステインリムーバーを使うと、
汚れが埃とともに残る場合があります。
2・ステインリムーバーを布に少しとり、
全体に手早く塗り込んでゆき、
違う布で素早く乾拭きします。
(局地的に塗ると色ムラの原因になります。)
(目立たないところでまずはチェックすることを
忘れずに。)
内側から撫でるように押すことで、今回の革は、
ある程度シワが伸び、凹みが改善しました。
(写真をとり忘れました)
次の工程のアイロンがけと、
革磨きのために革を伸ばし、
型崩れを防ぐために
キツめに形に合わせて、
タオルを複数詰めます。
革は、水で濡らし、熱を加えると、
形状が変化し、乾くと
その形を保つ特性があります。
タンニンなめしやコンビなめしのコバ(革の断面)を
磨くと木のように固く磨き上げることができるのは
そのためです。
アイロンの温度は、低温から中温。
タオルを2重にあて、革の様子を見ながら、
スチームを出しながら、
アイロンをあて、革のシワを伸ばし、形を整えてゆきます。
目立たないところで、まずは試すことと、
タオルをシューズキーパーのように
しっかり詰めておくことが必要です。
大きな凹みはかなり改善され、
シワもかなり浅くなりました。
ギボシ部分の革が欠損し、
そこから、革が裂け、持ち手が千切れそうな状態です。
ヌメ革を丸く切り、ギボシが入る穴を開けて、
金具を避けて縫えばこのようになります。
表面の革を縫い合わせても、
革の強度が弱いため、革をたし、
貫通させて縫うことで、
強度を出しました。
目立たないところで、色の入り具合をためし、
布や手に靴墨を少量とり、
全体に手早く塗り込みます。
シワの部分や凹みがある部分は、
叩くように靴墨を入れてゆきます。
2・別の布で、磨くようにスピーディーに、丹念に
磨きます。
3・豚毛ブラシで、磨き込んでゆきます。
特にファスナー周りや、角の部分、
段差部分などは、丹念に磨き込んでゆきます。
3・掌でスピーディーに摩擦をかけるように、
塗り込んでゆきます。
4・更にネル生地などで磨き込んでゆきます。
(布に靴墨の色が移らなくなるまで)
掌に少量クリームをとり、
磨きこむようにスピーディーに
塗り込んでゆきます。
2・ネル生地などで、
余分なクリームを残さないように、
磨き込んでゆきます。
3・仕上げに、馬毛ブラシを丹念にかければ、
以下のような状態になりました。
靴にも応用できますので、諦める前に試してみてください。
お役に立てれば、幸いです。
暇人です。 私のモットーは、心に{ヒマ}を持つことです。 心に暇がないと、色々見たり、考えたりするときに 行き詰まります。 今は寸暇を惜しまず考えて、行動し...
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