バックパッカーが文化になった理由は宿にある。現在の宿が手にし、失ったもの 2019.12.23 ブログ RSS 今回のカンボジア・バリの旅で一番印象深かったのは、街の発展と変化というよりも、「宿」と人の変化でした。現在の宿は、アプリやインターネットなんかを使って、前もって部屋の写真も口コミも見れて予約できる。15ドル前後できれいな部屋に泊まれて、ルームサービスなんかも毎日してくれてfreeWi-Fiもついていて、イタレリツクセリなんです。安宿やバックパッカーズホステルというより、プチホテルです。イタレリツクセリ感がありがたい反面、旅の楽しみを削いでしまうのです。それと何よりも人と人の距離を遠くしてしまっていると感じました。今回は、暇人の勝手な宿ブログです。 バックパッカーが文化になった理由は宿にある。現在の宿が手にし、失ったもの。 20代の前半から、アメリア、ベトナム、オーストラリア、沖縄、山形、岐阜、屋久島、京都、九州、タイ、ラオス、カンボジア、インドネシア、バリ島などなどを10年ぐらいの間、バイトをしては旅に出る、どっちが現実かわからない生活をしていました。 バックパッカーズホステル(安宿)との出会いはベタベタですが、オーストラリアのワーキングホリデーの時です。ホームステイの家を途中で飛び出して、行くところも決まっていなかったんで、クラブの近くのバックパッカーズホステルに数日泊まりました。ドミトリーの部屋には得体のしれない各国の人々、クラブの近くということもあって、クラブの中にいるような騒音と叫び声と笑い声とテクノが混じり合う異国にきた感じでした。そこには、カオスがあって、部屋で酔っ払って火を吹く奴、部屋を間違えて、ベットで眠り、帰ってきたベットの持ち主となんだかよくわからない口論を夜中始める。。。これがバックパッカーズホステルかーと衝撃を受けた記憶があります。(ここが特殊だっただけなんですが。)その後学校に行ったり、キャンピングカーの旅にでたり、砂漠へツーリングに行ったり、フルーツピッキングなどをしたり、キャンプ生活などを楽しで、オーストラリアラウンドの旅に殆ど無一文で出かけました。オーストラリアの宿の良いところは、共同キッチンが充実していて、ドミトリーながら、共同スペースがいい感じのところが多いところです。ダーウィンの宿では、料理が趣味ということもあり、初めて会った人々と一緒に料理を食べ、遊びに行き、学校時代の友達とも再会できたりと、またたく間に日々は楽しく過ぎ、一人はトンガへ戻り、一人は釣りに旅立ち、一人はまた元の場所に帰るのでさらっと別れます。みんな1人旅なのでどこに行くかは自分で決めて、共有できる時間を誰かと過ごすのです。イメージしていた一人旅とは違い、一人でいることはあまりないんです。1週間以上いた、ダーウィンも1度だけカカドゥの観光地に行っただけで、後は何をしていたのかはあまり覚えていませんが、一緒に買い出しに行き、料理を作り、しゃべり、プールに浮かんでいる光景だけが思い出されます。 何もしてないけれど、何か楽しい時間。 宿はたくさん行ったけれど、アデレードの宿は特別な場所です。一体何ヶ月いたのかもあやふやで、観光地もまったく行かず、街に行くのも朝の料理の買い出しにマーケットに行くぐらいで、ほぼほぼ宿にいました。いつもは会わないだろう、色々なタイプの友だちができて、毎日暇人が料理を作っていると、ヨーロピアンがコーラ煮や牛タンなどに気持ち悪いっと言ってきて、食べさせると旨いと掌返し。出来た料理を芝生で食べて、バイクを改造したり、ビーチバレーをやったり、ペットボトルにホースを付けて一気飲み。共同スペースにほぼみんないます。 ポツポツ誰かしら起きてきて、ただ喋り、遊び、グダグダな毎日。新しい人と友だちになり、見送り、再開し、別れ、バイクを買いにメルボルンに行って、アデレードの宿に戻り、重い腰を上げてバイクで旅立ってみると、 昨日の喧騒は嘘のような見知らぬ宿に泊まり、またバイクで次の宿へ。メルボルン隣の町に泊まっていると、電話があって次の日1000km走り戻ってしまい、クリスマスをみんなで過ごし、またそれぞれ旅立ち、タスマニアで再開をする。そこで会った友達とは、今も繋がりがあります。今でも、あの頃は平和で楽しかったねーと語り合います。「バックパッカーズトラベラーズイン」は今はなくなってしまったけれど、あの宿のおかげで、「宿」はただ泊まる所ではなく、それぞれの宿に惹かれた人々が集まり、それぞれの時間が交差し、交換し、共有する場所なんだなーと思いました。何だか、大人の秘密基地みたいな場所です。 その後キャンプをやったり、ファームステイ、シェアハウスで色んな国の人々と同じ屋根の下暮らすのは、とてもとても楽しかったので、帰ってきてすぐに、3ヶ月ほど沖縄の宿で働きました。名護の部落にぽつんとある謎の宿「海と風の宿」ここは、一言で言うと「大人の楽園」なのです。アクの強すぎる宿主。北海道の朗らかバイカーバイカーとマジシャン料理長、元宮大工の有機農業家、ものすごい太鼓腹の怪力んの大将を中心にスタッフなども色々入れ替わりながら、暇人は、料理長から料理を教えてもらいながら、個性的なお客さんや個性的なスタッフと今まで働いたことがない仙人、村八分の三味線の師匠とユタのオバー。日々料理を作り、ほぼ毎日朝まで語り合い、窯を作り、宿の大改修、ヨットを直して海へ行ったり、シーカヤックで無人島にいったり日々は過ぎてゆきます。ここには、人と人の大人の距離感がありました。それぞれは、いい大人なので、個人の尊厳を壊すようなことや肩書や生き方を否定するような言動は皆無で、それぞれがそれぞれの考えを持ち、聞くところは聞いて、話は自分のこれまでの人生やこれからやることなので、他人のくだらないうわさ話などがありませんでした。自分と違う世代や職業生き方、考え方を柔らかく押し付けず、宿のスタッフとお客さんとの垣根もなく、歳の違いの序列もなく、ある意味で大人の楽園なのでした。ただ、楽園はずーとは続かないようで、一人の変なスタッフが暇人と料理長の旅立ちと入れ替わりに入って来てからは、何本かの電話でわかったのですが、見事壊れてみんな散り散りになってしまったようです。その時、その場所にどんな人間がいるかによって、「宿」という場所は全く違うものになるのだと、ここでも知らされました。それにしても、あの3ヶ月はとても濃密な日々でした。一人の道を極め、捨てて一人で生きるかっこいい宮大工のおっちゃんから言われた、「お前も俺みたいになりたいか?」と言う言葉が、今でも心に刻まれています。 京都の宿では、宿に泊まっていない人々が集っていました。店主に一度だけ会いましたが、野生動物のような目と生命力の塊のような存在感は今でも忘れられません。みんなこの人が居るときでも居ないときでも、店主に惹かれ、スタッフもそこに関わる関係のない人々も集まってきているのだなーと思いました。何となく行った宿の縁で、知らなかった日本の山のまつりへ行って1週間。 京都の観光は1日のみで、後は2週間ほど何をしていたのかも覚えていません。ここでもただ色々な人々と料理をし、話していました。 沖縄には通算で1年以上行っています。人の縁は不思議です。西表のサトウキビ刈りから石垣島に降り立ちそこで会った人の縁で数年の交流の末、九州に引っ越して今の相方と会い、10年ほど暮らすことになりました。この沖縄の宿での縁がなければ、九州に住むこともなく、相方とも出会えず、路上販売やヘナアート、写真展、今の革の仕事もなかったような気がします。普段の生活では会えない人々と縁をつないでくれる良い宿があります。 その後行った沖縄本島の店主も京都宿の店主も、海と風の店主も元は沖縄の伝説的な宿のつながりがあるんです。縁が縁を呼び人と人が出会って、人生を形成していくのが、旅をし、宿に泊まると目に見えるのです。沖縄本島の宿の店主が言った、「私達は寂しいから宿をしている」という言葉が、一人旅をしている時の本当の気持ちと重なります。旅は人に会いに行っているのです。 10年前のアジアの宿は、ボコボコでした。そこに集まる人々の服もボコボコで、スプリングが飛び出している所、南京虫と格闘しながらも面白くてでられない宿。バンコクは不思議な街です。マーケットに行ってってしまえば、飯を食うぐらいしかやることがないんですが、気がつくと長く滞在しています。 隣国のカンボジアやラオスやベトナムやバリなんかに行ってきては、ゆっくりしに、バンコクに戻ります。 ボコボコなんで気にしなくていいし、神経質な人は泊まりに来ない。最低限のルールはもちろんあるが、それぞれマイペース。基本はみんな一人旅。旅の情報は、全てちょっと前に現地に行ってきた人々から聞けるんで、インターネットもガイドブックも下調べもほぼいりませんでした。 また宿で偶然再開し、それぞれが旅立ってゆく。宿はスペックではなく、面白いやつが来るか?が一番重要でした。南京虫に悲鳴を上げながらも、壁を赤く染めながら、数ヶ月水シャワーだったけれど笑い話になります。 カンボジアの宿もボコボコでしたが、面白い人々と出会え毎日遊び、ビザやバスの手配なども宿で出来たので一緒に行く人を探せば、今よりも安くどこへでも行けました。 バリのロスメンは他の東南アジアと違い、個室と中庭が基本でした。10年前にバリに行った時は、一人旅の日本人には、1人しか会えないぐらいだったんです。だけどロスメンは、バリ人の家の一角にある宿なので、バリやジャワなんかの人々と交流が持てて、とてもおもしろいところなのです。あるロスメンでの出会いから、地元民しか行けないワールドカイトフェスティバルや地元の朝まで続くセレモニーにも行くことが出来ました。バリ人の友だちもできて毎日遊びその時からバリは本当に特別な場所です。 今回の旅は小瑠璃と2人だったので、本当に良かったんですが、これまでのアジアの宿とは、違っていました。共同スペースに人がいないんです。どこの宿をのぞいてみても、共同スペースに人影はあまりなく、それぞれが違う場所か、部屋にいる印象でした。部屋は個室ということもあるのかもしれませんが、前よりも遥かに綺麗で、ホットシャワーにエアコンが付いて、ルームサービスなんかもしてくれて15ドル前後です。 部屋自体は、快適そのものです。こんな広くて、きれいな部屋は前からは考えられません。その代わり、人々は個室に泊まり、それぞれ旅を楽しむホテル滞在の印象になりました。一人できていた人も、何だか本当に1人で、何だか寂しそうに見えました。それと以前は宿が担っていたビザの手配や運転手の手配などをあまりやっていないので、ビザはビザは延長会社に行くか、手配してくれるところに行くか、ツアー会社に行くか、宿で手配などしてくれるところに行くか、自力で交渉するかになっていて、肝心の情報もあまり旅人の交流がないので、手に入りにくいんです。便利になったように見えて、口コミだとすぐに得られていた情報がネットだと数時間費やした挙げく違っているのもザラです。リアルタイムで変わる状況には対応が難しいのがネットの世界です。 何キロも歩いた挙げ句部屋がないなんてこともないし、快適になって、衛生的になっていい面ももちろんありますが、安宿がホテルのようになると、安宿の良さも薄れてしまいます。宿を予約しないと、はずれをひいたり、夜な夜なさまよい歩くのも次の出会いなどに繋がり、面白い面でもあるのですが・・・ バリのロスメンは、かなり減ってしまいました。特にクタの中心地は、観光客向けの物価が上がり、土地代も上がり、美しい中庭の会あったロスメンはほぼ姿を消してしまいました。しかし、ウブドにはまだ残っています。ホームステイと呼び方を変えて。今回泊まった「宿」はホームステイです。立て付けはあまり良くないですが、美しい中庭と気さくなオーナー、貫禄とエネルギーに満ち溢れた奥さん。感じの良い同年代の人々、笑顔が本当に美しいおじいちゃんとおばあちゃん。鶏多数、小鳥多数、犬、猫多数で大賑わいです。朝食も手作りで、部屋も清潔で、お祈りも毎日していて、バリ語やインドネシア語も教えてもらいました。 10日以上そこのロスメンに居たのですが、帰る時は、泪が出そうになりました。 心のこもった何気ないやりとりがあり、毎日の挨拶や何気ない会話があり、とてもとてもいい宿でした。 ホテルでは味わえない暖かな時間があります。 早くまたあのロスメンに行きたくてしょうがありません。 またバリに行きたいのはもちろんですが、またあの宿に帰りたいのです。 宿は、ただ泊まる場所ではなくて、人と会いに行く場所です。旅はどこかに行くのではなく、人々に会いに行くのです。 ※カンボジアとバリの実際に泊まった宿について詳しくは、後日書く予定です。 たまにはホテルではないところに泊まると、予期しない出会い新しい道が広がるかもしれません。 暇人165,929 views 暇人です。 私のモットーは、心に{ヒマ}を持つことです。 心に暇がないと、色々見たり、考えたりするときに 行き詰まります。 今は寸暇を惜しまず考えて、行動し... プロフィール RSS Pin it ブログ, 旅のお役立ち情報, 暇人のバリ島・カンボジア40日の旅, 暇人の日々と思うこと。, 暇人の書き物 howto, カンボジア, バックパッカー, バリ, リアル海外, 人生, 安宿, 実際の海外, 新たな扉, 旅のお役立ち情報, 暇人記事, 生き方 コメント: 0 日々のもやもやについて 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